「ファンフレンズ」ファシリテーター養成講座受講者募集!!

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フレンズ広場

「フレンズ広場」は「パスウエイズジャパン」の相互研修と研究の場です。日本社会において子ども支援や親支援を実践していくために研修と研究は欠かせません。

例えば、「フレンズ」は多文化国家であるオーストラリアで開発され実践されている子どものエンパワメントを支援するプログラムですが、英語圏(イギリスやニュージーランドなど)だけでなくオランダやドイツ、香港やメキシコなどにも紹介され盛んに実施されています。ポーラ・バレット博士は常に「フレンズ」の社会文化的妥当性を配慮してきました。たいていの土曜日と日曜日は各国の担当者と電話で話し合う時間に当てているそうです。日本導入にあたり社会文化的に適合していけるような考慮が必要となります。これはまた、日本の子ども支援と親支援に関わる皆さんの「海外で作られたプログラムが果たして日本社会で効果を発揮するのだろうか」という疑問を真摯に受け止めていくことになります。

さらに近年の子ども支援、親支援の動向を捉え理解を深めていかなければなりません。例えば、子ども支援の分野では発達障害とその支援法の理解が大切ですが、常にいろいろな理論やモデルが提案されていますし、新しい発見も報告されています。アップデートしていかなければなりません。親支援の分野では、家族というダイナミックな枠組みを子育て観の変化やグローバル化による影響なども考慮して捉えていかなければなりません。また心理学においても様々なアプローチが提案されています。例えば、ポジティブな要因に焦点を当て人のよりよい生活と社会福祉に貢献しようとするポジティブ心理学が今注目されています。

私たちの主な研究会活動は、プログラムの社会文化的考察をすること、セミナー開催や学会参加(発表)をすること、子ども支援と親支援に関する論文の紹介などです。具体的に今計画しているのは以下の四点です。

  1. 日本人対象のトライアルをオーストラリアと日本で実施します。
  2. 各地でセミナーを開催します。
  3. 国内の学会と国際学会に参加して発表し広くご意見ご質問をいただき研修します。
  4. 国内外の論文を紹介していきます。

「フレンズ広場」の活動にみなさまのご協力をお願い申し上げます。

フレンズ広場 レポート

フレンズ広場 第一号 (friends0709-1.pdf 136KB)

ポーラ・バッレト博士寄稿文 (2009年前期)

今回の寄稿文は、ファンフレンズの幼稚園や小学校におけるオーストラリアの研究と今後の課題について概説し、園や学校で行なうプログラムの意義がまとめられています。ニュージーランドでは5月に小学校教諭を対象とする特化トレーニング講座が初めて行なわれました。包括的な支援をクラスで行なえる「先生のパワー」に注目が集まっているようです。

ファンフレンズ研究の概略

パスウェイズ・ヘルス&リサーチセンター所長
クイーンズランド大学教授
ポーラ・バレット心理学博士

ファンフレンズ研究の今までの実施状況

裏付けとなる参考文献
Bernstien, A., Bernat, D., Andream, V., & Layne, A. (2008) "School-Based Interventions for Anxious Children: 3, 6, and 12 Month Followups. Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry, 47, (9) 1039.
Herman, K.C., Reinke, W.M., Parkin, J., Traylor, K.B., & Agarwal,G (2009) Childhood depression: Rethinking the role of the school. Psychology in the Schools, 46 (5), 433 - 446.

ファンフレンズの研究

過去数年の間に、子どもの不安障害治療プログラムが多数開発され、実証的に有効性が確認されてきた(Barrett, 1998; Barrett, Dadds, & Rapee, 1996; Kendall, 1994など)。未就学児のメンタルヘルスの問題に対するアセスメントと治療はまだ新しい研究分野といえるが、不安に関連する問題が子どもの発達にマイナスの影響を与える可能性があることは今までの研究から明らかである。深刻な社会的・情緒的問題を予防するために、この年齢層の子どものレジリエンスを高めスキルの習得を促す支援は重要である。したがって、未就学児の不安障害について知見を深め、この年齢層に適した効果的な社会的・情緒的スキルを育成する早期介入プログラムを開発することが求められている。さらに、ノーベル賞受賞者であるヘックマン(2000)は経済的観点から、幼児の社会的、情緒的ニーズを満たす取り組みは投資として最も費用対効果が大きいと述べている。

最近の研究結果では、生涯にわたって能力を発揮していく強力な基盤を作るには、就学前に効果的な社会的・情緒的スキルを身に付ける重要性が強調されている。加えて、子どもの不安症や気分障害に関する研究は、子どもの年齢が低いうちが予防効果は最も高いが、ある年齢以上になると介入支援の効果が下がるという結果に基づいて、早期介入を支持している。不安症は軽快しにくく、時間とともに悪化するケースも多いという報告を考慮すると、低年齢層の子どもたちのレジリエンスと社会的スキルの習得支援に研究の重点を移すことは不可欠である。また、親子の相互関係が子どもの不安症の発症と持続に関与する大きな要因と理解されているので保護者の参加は非常に重要である。さらに、子どもの情緒的・社会的スキルを向上させることは、教室内での行動問題を減らすので、保護者のストレス軽減に貢献すると思われる。 ファンフレンズ・プログラムは過去数年にわたりブリスベン市内の幼稚園でトライアルを重ねており、中間集計によると、支援を受けた子どもは介入後に不安の評価基準数値は下がり、社会的・情緒的能力の評価基準数値は上がった(Pahl & Barrett, 2008)。このような研究結果は、未就学児のレジリエンス向上の可能性を持つファンフレンズの重要性を明らかした。レジリエンスの育成という枠組みに加えて、ファンフレンズはCBTの理論とスキルに基礎を置いている。CBTは不安や精神的苦痛の軽減に有効であると認識されている(Kendall, 1994; Barrett, Dadds & Rapee, 1996)。ファンフレンズのセッションの流れは、情緒および行動障害の発現予防を目的としつつ、レジリエンス、社会的情緒的スキル、前向きな対処スキルの向上に重点を置いて構成されている。各セッション内容は、子どもが楽しめる遊びを中心としたプレイベイストアプローチに基づいており、発達に応じた認知行動的対処方法を子どもに教える。

学校を拠点とした一般的介入

学校は子どもとその家族の生活に重要な役割を果たす。学校は子どもが家庭から離れて過ごす環境として主要なものであり、かつ家庭と地域社会とを結び付ける機能を持つ。この意味で子どものメンタルヘルスに対する取り組みを担い、社会的・情緒的発達のための教育を促進する最適な場である。学校環境が子どもにもたらす影響について外在的な問題である行動問題の研究文献は多いが、不安や抑うつなど内在的問題に焦点を当てた研究はほとんどない(Herman et al., 2009)。

学校におけるメンタルヘルス向上の取り組みは長い間強く実施が求められているが、現状の実施状況は単に必修課程の付け足し程度でしかない。児童・生徒、家庭、地域社会が直接的、持続的な恩恵を得られる機会を逃しているのだ。子どもと家族の生活にプラスの影響を与える永続的で効果的な予防方法を開発するためには、子どもの不安症やうつ病に対して学校が果たす役割を認識する必要がある。

現在の研究

ファンフレンズは4~7歳の児童を対象にブリスベンの学校で実施されていることを踏まえ、現在の研究プロジェクトはその現実に対応した一般的介入プログラムの評価検証に焦点を絞った。一般的アプローチは学校環境に多くの点でプラス効果をもたらす。つまり、リスクレベルに関わりなく幅広い層の子どもたちが参加するので、偏見を持たれるという危惧のない建設的支援が可能になる。さらに、ピアサポートの促進、教室内の心理的社会的問題の軽減、すべての 子どもの学習促進、健全な社会的・情緒的発達の助長という利点も挙げられる(Evans, 1999; Kubiszyn, 1998)。レジリエンスのスキルを身に付けることはあらゆる子どもと家族にとって有益であるといえる。一般的アプローチはそういう意味で大変重要である(Greenberg et al., 2001; Shure, 2001)。

研究の目的

現在私がかかわっている研究は以下の点を目的としている。

  1. ファンフレンズ・プログラムのトレーナー養成に付随して、大規模な地域一般的対照トライアルをブリスベンの16の学校において行う。
  2. ブリスベン広域圏において、地域の学校に通う4~7歳児とその保護者を対象に、子どもの長所や能力と、不安、うつ、レジリエンスのレベルのアセスメントを行う。
  3. 地域の学校に通う4~7歳児を被験対象として、その母親・父親のストレス、不安、抑うつのレベルのアセスメントを行う。
  4. 子どもの不安症の原因と持続に関連して、危険因子と防御因子を調べる。未就学児の不安症状の有無には、様々な危険因子、防御因子が関係すると考えられる。学童期の子どもを対象としたこれまでの研究からすると、行動抑制、保護者の高レベルの不安・抑うつ、保護者のストレス、親子関係の問題、保護者の監督上の問題が、主な危険因子と見なされる。
  5. 子どもの不安症の危険因子として母親・父親の不安が子どもに与える影響をより具体的に分析するとともに、性別による違いがあるかどうかを明らかにする。
  6. 子どもの不安症が、母親・父親の不安やストレスのレベルに及ぼす影響を調べる。
  7. 変数の相互関係を理解するモデルを作り、親子の不安の双向的影響の解明に役立てる。
  8. CBTを用いている点、学校で実施するという点で類似する社会的・情緒的スキルプログラムである "You Can Do It" プログラム(松本注; Bernard, 1995,2001,2002,2003,2004,2005: アルバート・エリスの理性感情行動療法に基づく教育プログラム)、および待機統制群との比較で、ファンフレンズ・プログラムの有効性を検証する。
  9. 保護者および教師のレポート式尺度では子どもの行動、情緒面に改善が報告されているが、実際に子どもの不安、レジリエンス、前向きな対処にプラスの効果をもたらすのかどうか明らかにするため、実施前、実施後、12カ月後の各時点で、介入群(IG)と待機統制群(WLG)のデータ結果を比較する。実施後の時点でWLGと比べると、プログラムに参加した子どもは不安のレベルが低下するとともに社会的・情緒的健全性が高まるものと予想される。こうした成果は12カ月後の追跡調査においても持続しているものと考えられる。
  10. 臨床範囲ではない子どもとリスクレベルの高い子どものデータ結果について長期予測分析を行う。IGで臨床範囲ではなかった子どもは、実施後および12カ月後でも臨床対象とならないレベルを維持すると予測される。IGで実施前には「高リスク」であった子どもは、実施後のアセスメントでは数値が改善し(非臨床的範囲)、12カ月後にはさらに改善が進んでいるものと考えられる。
  11. プログラムを強く支持する保護者の方がそうでない保護者に比べて、実施後および12カ月後の子どもの改善の度合いはより顕著であるかを検証する。さらに、介入が保護者のストレス、不安、抑うつのレベルにプラスの影響を与えるかどうかを明らかにする。プログラムに熱心であり親向けワークショップに参加した家庭では、子どもの不安症の基準となる数値が低下し、社会的・情緒的能力を示す数値が上昇すると考えられる。
  12. ファンフレンズ・プログラムの特徴である「楽しさ」の社会的妥当性を、保護者および教師のコメントによって明らかにする。どのような点が楽しく効果的だったかについてアンケートを毎週実施しデータ収集と分析を行う。プログラム向上に貢献する改善点が探れると期待できる。プログラム満足度と、身に付けたスキルを様々な状況で実践できる習得度の高い親からは、子どもの不安症のレベルが下がったという報告が寄せられると予想される。
  13. 教師および保護者による社会的妥当性のデータから導き出される提案をプログラムの見直しに生かしていく。教師や保護者が習得したスキルを長期的に維持できるように、スキルが様々な生活場面に応用され持続して使われる可能性を家庭や学校環境において高める。
  14. 学校環境が、介入の満足度、一貫性、統一性とどのように関係しているか調べる。

研究1a: 有病率と発病率の研究 - 研究課題

研究1b - 研究課題

研究2 - 研究課題

参加者: ブリスベン広域圏およびサンシャインコースト地区の20~21のカソリック系学校から、幼稚園年長組から小学2年生までの4~7歳児約600名の参加を募る。これらの学校を、

  1. 介入群 (ファンフレンズプログラムに参加)
  2. 比較介入群 (You Can Do Itプログラムに参加)
  3. 統制群 (プログラム参加待機)

の三つに分ける。これら3群のそれぞれは、学校の規模および社会的・経済的状況に偏りがないように分けられている。

不安症

不安症は、文化的背景によって罹患率に差はあるものの、抑うつ障害同様、非常に一般的な精神疾患である。不安症には広範な種類の障害が含まれるが、これまではそのうち全般性不安障害、社会恐怖症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に一次予防の重点が置かれてきた。アメリカにおける不安症関連の年間費用は1990年には約640億ドル(1998年のドル換算)であったと推定される。ほとんどの場合、最初に不安症を発症するのは小児期から青年期にかけてであるため、この年齢層が一次予防の主な対象となる。子どもの精神病理の中で不安症は最も一般的なもので、年間罹患率は5.7~17.7%で推移しているが大体は10%以上である(Costello & Angold, 1995)。青年期および成人後にも不安症から抜け出せないままとなる率が高いことが証明されている(Majcher & Pollack, 1996)。

高リスク集団の例としては、心配性の親の子ども、児童虐待、事故、暴力、戦争、災害やその他のトラウマの被害者、強盗などの被害にあう危険が高い職業やトラウマ被害者の治療に当たる職業の従事者が挙げられる。不安症の危険因子および防御因子には制御が可能で特定の不安に対するものや一般的なものがあるが、これにはトラウマとなる出来事、小児期の学習プロセス(心配過多の親が悪い手本となったり管理過剰になるなど)、自分ではコントロールできないという感覚、自己効力感の低さ、対処方略、社会的支援などが含まれる。早い時期に人生に関わるような不運な出来事を経験すると神経生物学的に見て脆弱になり、それによって神経的なストレス反応システムが長期にわたって変質するため、成人後に感情障害や不安症にかかりやすくなる。

根拠に基づいた予防対策は、対象とする集団や不安症の種類、対処する危険因子や防御因子の種類、タイミング(トラウマとなる出来事を見越して行うのか、事後に対応するのかなど)、用いる手法などによって様々である。

情緒的なレジリエンスの増進と事前教育

重要な対策で、かつ有効性が証明されているのは、情緒的なレジリエンスの増進と不安症の発症を避けるのに必要な認知スキルの向上に焦点を絞ったものである。7~16歳向けの不安症予防プログラムとして有望なものに、オーストラリアのフレンズプログラムがあるが、これは不安症治療で効果を発揮したプログラムを予防用に変換したもので、学校や保健所、病院などで幅広く活用されている。フレンズは10回のセッションからなる認知行動療法プログラムで、より効果的に不安に対処するスキルや、情緒的レジリエンス、問題解決能力、自信を高めるスキルを子どもに教える。対照実験によると、介入前には不安の症状が顕著だった子どもにプログラムを実施したところ、不安症と診断される最初の発症は、対照群では54%であったの対し、介入後6カ月間予防が施された状態では16%と減少が見られた(Dadds et al., 1997)。同様に、プログラムを学校で一般生徒に実施した場合も、リスクの高い子どもや青少年に対し選択的に実施した場合も、不安の症状が大幅に軽減されたという結果が出ている(Lowry-Webster, Barrett & Dadds, 2001など)。フレンズは、スウェーデン、オランダ、アメリカでも実施されている。